オカメサブレをみんなが知ってるお菓子にするまで日記 抄
㊸クッキー缶を作る
クッキー缶は店舗がないときから作っていてオリジナルデザインの缶にあこがれを持っていました。私じしん気に入ったかわいいお菓子の缶に切手とかボタンとかをしまったりしていたのでそうやってクッキーを食べてしまった後も長く使ってもらえるようなオリジナルの缶が作りたいと思っていました。板橋区では「毎年ボローニャ絵本さんぽ」が開催されいていて区内のカフェやパン屋さんなどに絵本の原画が飾られます。2021年、当時わたしがいちにちカフェで使わせていただいていた「杜のまちや」さんも展示会場となりオオノ・マユミさんの原画展が開催されていました。そのとき見た原画の色が明るくて元気が出る感じで、花や蝶などかわいらしいモチーフなのですがとっても洗練されてると思いました。その後クッキー缶のデザインをお願いしたいと思い、向島のikkAさんでオオノさんが個展をされていたときに出かけ「クッキー缶のデザインをお願いできませんか」と相談してみましたところ、ご快諾いただけてとても嬉しかったです。その後オンラインで打ち合わせして頂き参考になるよう好きだと思うデザインの資料を少しお渡ししたりはしましたがなんというか細かい絵柄の話というよりはオオノさんに「さわや歌さんのいちばん大事にしてることはなんですか?」と聞かれたことがすごく印象に残っています。私は「自由でいることです」と答えました。よくそのことを考えてたときだったので聞かれて驚きました。そして完成したデザインを見てとびあがるほど感激しました。クラシックな草モチーフでKIBI'S BAKE SHOP の文字がデザインされている中にお花をくわえたオカメサブレが描かれてたのですがそのオカメサブレがほんとにオカメサブレだったからです。目とホッペの位置がさいこうでした。オオノさんはボローニャ国際絵本原画展に入選されていたりボローニャ・ブックフェアにも参加されてたり絵本を多国籍出版されていたりと、お話しているととても穏やかな空気を纏った方ですが内面の情熱とか努力とかを思うとすさまじいものがあるのだろうと想像します。店舗の1周年記念に合わせてクッキー缶を販売できました。その後、改めて原画まで描いてプレゼントして頂きましたのでお店の壁に飾っています。 「オカメサブレをみんなが知ってるお菓子にするまで日記」はnoteでお読みいただけます
㊸クッキー缶を作る
クッキー缶は店舗がないときから作っていてオリジナルデザインの缶にあこがれを持っていました。私じしん気に入ったかわいいお菓子の缶に切手とかボタンとかをしまったりしていたのでそうやってクッキーを食べてしまった後も長く使ってもらえるようなオリジナルの缶が作りたいと思っていました。板橋区では「毎年ボローニャ絵本さんぽ」が開催されいていて区内のカフェやパン屋さんなどに絵本の原画が飾られます。2021年、当時わたしがいちにちカフェで使わせていただいていた「杜のまちや」さんも展示会場となりオオノ・マユミさんの原画展が開催されていました。そのとき見た原画の色が明るくて元気が出る感じで、花や蝶などかわいらしいモチーフなのですがとっても洗練されてると思いました。その後クッキー缶のデザインをお願いしたいと思い、向島のikkAさんでオオノさんが個展をされていたときに出かけ「クッキー缶のデザインをお願いできませんか」と相談してみましたところ、ご快諾いただけてとても嬉しかったです。その後オンラインで打ち合わせして頂き参考になるよう好きだと思うデザインの資料を少しお渡ししたりはしましたがなんというか細かい絵柄の話というよりはオオノさんに「さわや歌さんのいちばん大事にしてることはなんですか?」と聞かれたことがすごく印象に残っています。私は「自由でいることです」と答えました。よくそのことを考えてたときだったので聞かれて驚きました。そして完成したデザインを見てとびあがるほど感激しました。クラシックな草モチーフでKIBI'S BAKE SHOP の文字がデザインされている中にお花をくわえたオカメサブレが描かれてたのですがそのオカメサブレがほんとにオカメサブレだったからです。目とホッペの位置がさいこうでした。オオノさんはボローニャ国際絵本原画展に入選されていたりボローニャ・ブックフェアにも参加されてたり絵本を多国籍出版されていたりと、お話しているととても穏やかな空気を纏った方ですが内面の情熱とか努力とかを思うとすさまじいものがあるのだろうと想像します。店舗の1周年記念に合わせてクッキー缶を販売できました。その後、改めて原画まで描いてプレゼントして頂きましたのでお店の壁に飾っています。 「オカメサブレをみんなが知ってるお菓子にするまで日記」はnoteでお読みいただけます
㊴イラストをお願いする
行商時代に遡りますがキビズベイクショップのホームページやショップカードのイラストは大阪のデザイナー坂井亮一さんに描いていただいています。坂井さんはゆらちゃんとぽぃちゃんというオカメインコと暮らしています。Instagramで坂井さんが投稿していたイラストが好きでフォローしていました。オカメインコがセンスの良い服を着てカフェでコーヒーを飲んでいたりやパン屋さんにいるイラストでした。かわいすぎず子供っぽいところがないのと、なにより表情が優しくてじっと見つめたくなる感じでした。そして「さかいさんのオカメとパンのイラストシリーズが大好きでアップを楽しみにしています。そして当店にイラストを描いていただけないかと思いDMさせていただきました。」というDMをお送りしたのが2021年11月のことです。オカメサブレのInstagramを見てくださっていたこともありご快諾いただけました。まずオカメサブレとコーヒーカップの絵を描いていただけてその後もオカメサブレの製造風景が届きました。(ホームページにイラストギャラリーを作っています。)詳しく工程を説明したりはしていないのに粉を量るところやめん棒で伸ばすところ、ホッペのアイシングをするところなど私がやっているそのままでほんとうに不思議に思いました。お菓子作りに詳しいのかと思いましたがそうではないとのことでした。バレンタインやクリスマスの特別なイラストも描いていただきました。2022年3月に大阪のホルベインギャラリーで個展をされるとお知らせいただき会場でオカメサブレの販売もしていただけました。私も展示を観に行きそのときはじめて坂井さんにお会いしました。とても優しい方で絵の雰囲気そのままの印象でした。展示の終了後、職場を見せていただきそこで飼われているセキセイインコを肩にのせてもらいました。そしていっしょに中華料理のレストランへ行きました。最後は大阪駅まで車で送っていただきました。オカメサブレの仕事は会えてよかったなというたくさんの人たちに会わせてくれています。 「オカメサブレをみんなが知ってるお菓子にするまで日記」はnoteでお読みいただけます
㊴イラストをお願いする
行商時代に遡りますがキビズベイクショップのホームページやショップカードのイラストは大阪のデザイナー坂井亮一さんに描いていただいています。坂井さんはゆらちゃんとぽぃちゃんというオカメインコと暮らしています。Instagramで坂井さんが投稿していたイラストが好きでフォローしていました。オカメインコがセンスの良い服を着てカフェでコーヒーを飲んでいたりやパン屋さんにいるイラストでした。かわいすぎず子供っぽいところがないのと、なにより表情が優しくてじっと見つめたくなる感じでした。そして「さかいさんのオカメとパンのイラストシリーズが大好きでアップを楽しみにしています。そして当店にイラストを描いていただけないかと思いDMさせていただきました。」というDMをお送りしたのが2021年11月のことです。オカメサブレのInstagramを見てくださっていたこともありご快諾いただけました。まずオカメサブレとコーヒーカップの絵を描いていただけてその後もオカメサブレの製造風景が届きました。(ホームページにイラストギャラリーを作っています。)詳しく工程を説明したりはしていないのに粉を量るところやめん棒で伸ばすところ、ホッペのアイシングをするところなど私がやっているそのままでほんとうに不思議に思いました。お菓子作りに詳しいのかと思いましたがそうではないとのことでした。バレンタインやクリスマスの特別なイラストも描いていただきました。2022年3月に大阪のホルベインギャラリーで個展をされるとお知らせいただき会場でオカメサブレの販売もしていただけました。私も展示を観に行きそのときはじめて坂井さんにお会いしました。とても優しい方で絵の雰囲気そのままの印象でした。展示の終了後、職場を見せていただきそこで飼われているセキセイインコを肩にのせてもらいました。そしていっしょに中華料理のレストランへ行きました。最後は大阪駅まで車で送っていただきました。オカメサブレの仕事は会えてよかったなというたくさんの人たちに会わせてくれています。 「オカメサブレをみんなが知ってるお菓子にするまで日記」はnoteでお読みいただけます
⑩行商をはじめる
独立しようと退職したのはいいですが急にお給料が入ってくることがなくなりオカメサブレのオンラインストアの売上もまだ数万円でした。このままでは貯金も退職金もどんどん減る一方なのは想像できたので私はオカメサブレを毎日どこかで販売して少しでも稼ごうと思いました。わたしは行動が大胆なことがあるため何か深い考えがあるように見えて別にない、というタイプの人間なのであっさり天気の良い日に自転車にばんじゅうをくくりつけてオカメサブレを荷台に積んで行商をはじめました。行商とは人力で移動できる販売スタイルのことです。駅前で桃とか売ってる人がいちおう車輪のついたリヤカーみたいの使ってるのもそういうことなんじゃないかと思います。行商は許可制ではなく届出という扱いですので行商届を出しました。春の川原です。桜の花が満開になる直前のだれだって不機嫌ではいられないような昼下がりでした。自転車を降りてたいして場所も選ばずなんかとつぜん店を始めました。ばんじゅうにオカメサブレを並べてるとき通りかかったおばあちゃんに「なにか売ってるの?」と話しかけられて「はい、お菓子屋なんですが店舗がないので自転車のお店をはじめました」と言いました。おばあちゃんがオカメサブレを3枚買ってくれました。ポシェットにジップロックを短く切ったものを入れててそこにお金を入れました。イベント出店の頃からレジはiPhoneに入れたAirレジを使っていましたのでクレジットカードでもQRコード決済でもだいじょうぶでしたが、おつりは1万円札の人がいても困らないようにお札9千円分、後は硬貨で千円分と決めて用意していました。光のどけき春の日効果でオカメサブレはそのあとも何人かの人に買っていただけました。自分で作ったものを自分で売り歩いてお金を稼ぐことができるというのはあたりまえのようでいて大発見でした。仕事は辞めてしまったがなんとかなるだろうと思えました。アルバイトをして一時的にしのいでもオカメサブレの仕事に関してなにも積み上がっていきませんが、たとえ数百円だったとしてもオカメサブレを販売することで得た売上やお客さまとの出会いはこれからの事業に積み上がっていくと考えるようになり収入に対する考え方も少しだけ変化したのを感じました。ここからはほぼ毎日自転車にオカメサブレを積んで行商の日々をつづけました。最初のお客さまになってくれたおばあちゃんにはその後一度だけ会えて「さがしてたのよー孫が気に入って」と言われました。 「オカメサブレをみんなが知ってるお菓子にするまで日記」はnoteでお読みいただけます
⑩行商をはじめる
独立しようと退職したのはいいですが急にお給料が入ってくることがなくなりオカメサブレのオンラインストアの売上もまだ数万円でした。このままでは貯金も退職金もどんどん減る一方なのは想像できたので私はオカメサブレを毎日どこかで販売して少しでも稼ごうと思いました。わたしは行動が大胆なことがあるため何か深い考えがあるように見えて別にない、というタイプの人間なのであっさり天気の良い日に自転車にばんじゅうをくくりつけてオカメサブレを荷台に積んで行商をはじめました。行商とは人力で移動できる販売スタイルのことです。駅前で桃とか売ってる人がいちおう車輪のついたリヤカーみたいの使ってるのもそういうことなんじゃないかと思います。行商は許可制ではなく届出という扱いですので行商届を出しました。春の川原です。桜の花が満開になる直前のだれだって不機嫌ではいられないような昼下がりでした。自転車を降りてたいして場所も選ばずなんかとつぜん店を始めました。ばんじゅうにオカメサブレを並べてるとき通りかかったおばあちゃんに「なにか売ってるの?」と話しかけられて「はい、お菓子屋なんですが店舗がないので自転車のお店をはじめました」と言いました。おばあちゃんがオカメサブレを3枚買ってくれました。ポシェットにジップロックを短く切ったものを入れててそこにお金を入れました。イベント出店の頃からレジはiPhoneに入れたAirレジを使っていましたのでクレジットカードでもQRコード決済でもだいじょうぶでしたが、おつりは1万円札の人がいても困らないようにお札9千円分、後は硬貨で千円分と決めて用意していました。光のどけき春の日効果でオカメサブレはそのあとも何人かの人に買っていただけました。自分で作ったものを自分で売り歩いてお金を稼ぐことができるというのはあたりまえのようでいて大発見でした。仕事は辞めてしまったがなんとかなるだろうと思えました。アルバイトをして一時的にしのいでもオカメサブレの仕事に関してなにも積み上がっていきませんが、たとえ数百円だったとしてもオカメサブレを販売することで得た売上やお客さまとの出会いはこれからの事業に積み上がっていくと考えるようになり収入に対する考え方も少しだけ変化したのを感じました。ここからはほぼ毎日自転車にオカメサブレを積んで行商の日々をつづけました。最初のお客さまになってくれたおばあちゃんにはその後一度だけ会えて「さがしてたのよー孫が気に入って」と言われました。 「オカメサブレをみんなが知ってるお菓子にするまで日記」はnoteでお読みいただけます
①2020年4月開業
2020年のはじめ、私はふと趣味でたまに焼いていた「オカメサブレ」を売ってみたい、と思いました。日本の法律ではお菓子を作って販売するには「食品衛生管理者」と「菓子製造業の許可」のふたつは必ず必要です。前者は申し込みして1日講座を受け試験に受かれば取得できます。費用も1万円くらいです。ほとんどの方が最初にぶちあたり販売を諦めることになる壁が後者の「菓子製造業の許可」だと思います。各自治体の保健所から許可を得る必要があります。ちょっとやってみたい、という段階で何十万もかけてキッチンを改装できる人は少ないと思います。どうしたものかと悩んだとき、カフェや飲食店を経営しているなど関わりのありそうなことをしているあらゆる友人にこんな感じで困ってるんだけどどう思う?と聞いてみました。全員が自分の知っている知識を惜しげもなく教えてくれました。このあと何度も体験するのですがこれは自営業者の生き残るための優しさや寛大さを初めて感じたできごとです。カフェ経営の友人が「いまはレンタルキッチンていうのもあるから調べてみたら?」と教えてくれました。そのおかげで通いやすい板橋区に菓子製造の営業許可付きレンタルキッチンを見つけることができました。キッチンのオーナーは株式会社夢見創の山本蓮理さんで当時はネット販売で低糖質の焼き菓子を専門に販売されていましたが、いまではレシピ本も出版されていて東京や地元山口でいくつかのレンタルキッチンを運営されています。新型コロナウィルスで人に会うことはなくなったころのことです。蓮理さんのキッチンにおじゃまして「作りたいのはオカメサブレです。これしか作りません」というようなことを口にしたとき自分の世界だけに存在してたものが空気にふれて「そこにある」という感じになったのをよく覚えています。ごく普通に「いいですね」って感じの反応だったことはありがたかったです。これ以降、やりたいことが決まってるんだからそれを言ってやるだけだ!と勢いづいて行ったと思います。2020年4月に個人事業主として開業届を出しました。屋号は「KIBI'S BAKE SHOP」、業種は「菓子製造及び小売」。開業届を出すのは税務署で特に費用はかかりませんでした。 「オカメサブレをみんなが知ってるお菓子にするまで日記」はnoteでお読みいただけます
①2020年4月開業
2020年のはじめ、私はふと趣味でたまに焼いていた「オカメサブレ」を売ってみたい、と思いました。日本の法律ではお菓子を作って販売するには「食品衛生管理者」と「菓子製造業の許可」のふたつは必ず必要です。前者は申し込みして1日講座を受け試験に受かれば取得できます。費用も1万円くらいです。ほとんどの方が最初にぶちあたり販売を諦めることになる壁が後者の「菓子製造業の許可」だと思います。各自治体の保健所から許可を得る必要があります。ちょっとやってみたい、という段階で何十万もかけてキッチンを改装できる人は少ないと思います。どうしたものかと悩んだとき、カフェや飲食店を経営しているなど関わりのありそうなことをしているあらゆる友人にこんな感じで困ってるんだけどどう思う?と聞いてみました。全員が自分の知っている知識を惜しげもなく教えてくれました。このあと何度も体験するのですがこれは自営業者の生き残るための優しさや寛大さを初めて感じたできごとです。カフェ経営の友人が「いまはレンタルキッチンていうのもあるから調べてみたら?」と教えてくれました。そのおかげで通いやすい板橋区に菓子製造の営業許可付きレンタルキッチンを見つけることができました。キッチンのオーナーは株式会社夢見創の山本蓮理さんで当時はネット販売で低糖質の焼き菓子を専門に販売されていましたが、いまではレシピ本も出版されていて東京や地元山口でいくつかのレンタルキッチンを運営されています。新型コロナウィルスで人に会うことはなくなったころのことです。蓮理さんのキッチンにおじゃまして「作りたいのはオカメサブレです。これしか作りません」というようなことを口にしたとき自分の世界だけに存在してたものが空気にふれて「そこにある」という感じになったのをよく覚えています。ごく普通に「いいですね」って感じの反応だったことはありがたかったです。これ以降、やりたいことが決まってるんだからそれを言ってやるだけだ!と勢いづいて行ったと思います。2020年4月に個人事業主として開業届を出しました。屋号は「KIBI'S BAKE SHOP」、業種は「菓子製造及び小売」。開業届を出すのは税務署で特に費用はかかりませんでした。 「オカメサブレをみんなが知ってるお菓子にするまで日記」はnoteでお読みいただけます
㊳小さな設備の最大限
開店当時の資金計画になかったものでも必要な設備は買い足しました。仕事にすると言うことはなんの比喩でもなく「重くなること」でした。店の中にある設備の重量が増えれば増えるほど、仕込みの量が増えれば増えるほど、そんなことを思いました。 真空パックの機械 中古10万円業務用冷蔵庫コールドテーブル 11万ステンレス作業台 3万円冷凍ストッカー 197リットル 3万円リバースシーター 8万円棚5個 3万円低温調理器 4万円 重さのわりには値段は安いです。フルーツを10kg仕入れたさいは真空パックして冷凍保存します。一度に仕込めないことも多いので鮮度を保ちながら保存します。オーブン3台をフル稼働してオカメサブレを焼いていてもさらに製造量を増やすため低温調理器を使いプリンを作る、といったように小さな設備しか入れられないことをメリットにすべく消耗品計上の範囲内で揃えられるような設備を購入していきました。製造時間が同じでも機械がたくさんあればある程度まで製造量を増やせます。ただそれを一人で行うのであれば限界はわりとすぐ分かります。2023年12月は過去最高の売上でした。それはこの小さな店でほんとうに良く頑張ったと思えるものでしたが、わたしは早朝から終電まで(ときにはそれも逃す)ずっと仕事をしていました。ここが分水嶺でどこかなにかを劇的に変えるか、むりせずほそぼそやるかということなのかなと思いました。 「オカメサブレをみんなが知ってるお菓子にするまで日記」はnoteでお読みいただけます
㊳小さな設備の最大限
開店当時の資金計画になかったものでも必要な設備は買い足しました。仕事にすると言うことはなんの比喩でもなく「重くなること」でした。店の中にある設備の重量が増えれば増えるほど、仕込みの量が増えれば増えるほど、そんなことを思いました。 真空パックの機械 中古10万円業務用冷蔵庫コールドテーブル 11万ステンレス作業台 3万円冷凍ストッカー 197リットル 3万円リバースシーター 8万円棚5個 3万円低温調理器 4万円 重さのわりには値段は安いです。フルーツを10kg仕入れたさいは真空パックして冷凍保存します。一度に仕込めないことも多いので鮮度を保ちながら保存します。オーブン3台をフル稼働してオカメサブレを焼いていてもさらに製造量を増やすため低温調理器を使いプリンを作る、といったように小さな設備しか入れられないことをメリットにすべく消耗品計上の範囲内で揃えられるような設備を購入していきました。製造時間が同じでも機械がたくさんあればある程度まで製造量を増やせます。ただそれを一人で行うのであれば限界はわりとすぐ分かります。2023年12月は過去最高の売上でした。それはこの小さな店でほんとうに良く頑張ったと思えるものでしたが、わたしは早朝から終電まで(ときにはそれも逃す)ずっと仕事をしていました。ここが分水嶺でどこかなにかを劇的に変えるか、むりせずほそぼそやるかということなのかなと思いました。 「オカメサブレをみんなが知ってるお菓子にするまで日記」はnoteでお読みいただけます
⑭オカメサブレの作り方
オカメサブレはクルミとバターのサクサクサブレ。赤いホッペはラズベリー。レシピのうち原材料とその比率は開業当時より変えていません。ですがおいしくなった、とよく言われますし私もそう思います。変えたのは何なのかと言うと機材と工程です。これに関してはほんとうに実験を繰り返したといえます。工程のうちもっともたいせつなことは仕込みだと思っています。ここがうまくいっていないと成形、ベイク、焼き上がり、その後のすべてがうまくいかなくなります。はじめの1年くらいは生地の仕込みを全て手で行っていました。一度に仕込む量が2kgくらいでしたから大変ではありましたが50センチのミキシングボウルで粉をいれるところまでしてました。いまでは一度に30kg仕込むこともあります。10クオートの業務用ミキサーを購入しました。単相100Vで使用できる最大です。一回まわすごとに室温に戻したポンドバターを3個使います。きび砂糖、卵黄、クルミの順に投入していきます。機械だからといってドバっと全部入れて良いわけではありません。わたしの感覚ではバターときび砂糖の段階までは高速でそうとう回して大丈夫です。むしろしっかりやるべきところです。卵を入れるときは慎重にしています。したいのは「乳化」だからです。乳化というのは水と油みたいに本来まざらないはずのものを均一に混ざりあった状態にすることです。起きていることは化学的なことで分子がとか分子間力が、とか聞きます。ちょっとむずかしいんですが、うまくいってるときはきれいなので分かります。オカメサブレには卵黄しか使いませんからレシチンのはたらきで全卵のときのように分離などしたことはありません。クルミはオーブンで15分ローストしたものをクイジナートでペースト状にして混ぜています。それをふるいにかけた小麦粉と合わせます。3キロ近い小麦粉と合わせますのでなかなか重労働です。こねすぎるとグルテンが出てしまって良くないですから最低限の回数で混ぜていきます。うまく行った生地というのはまとまりがあってべたついたりすることがありません。それを2〜5回繰り返します。オカメサブレのレシピはいつでも公開できると思っています。私のお菓子を作る才能は普通ですが、オカメサブレを私よりじょうずに作れる人はいないからです。何万枚も焼いたからそう思います。オーブンの温度と焼き時間を同じにしたからと言って同じように焼き上がるわけではありまません。理由はかんたんで、その日の気温とか、生地の温度とか、卵だっていつも同じではない。つまりは毎日が違う日だからです。オカメサブレを何万枚も焼いたことで分かった、いつも昨日とは違うということは、なんだかうれしい大発見でした。 「オカメサブレをみんなが知ってるお菓子にするまで日記」はnoteでお読みいただけます
⑭オカメサブレの作り方
オカメサブレはクルミとバターのサクサクサブレ。赤いホッペはラズベリー。レシピのうち原材料とその比率は開業当時より変えていません。ですがおいしくなった、とよく言われますし私もそう思います。変えたのは何なのかと言うと機材と工程です。これに関してはほんとうに実験を繰り返したといえます。工程のうちもっともたいせつなことは仕込みだと思っています。ここがうまくいっていないと成形、ベイク、焼き上がり、その後のすべてがうまくいかなくなります。はじめの1年くらいは生地の仕込みを全て手で行っていました。一度に仕込む量が2kgくらいでしたから大変ではありましたが50センチのミキシングボウルで粉をいれるところまでしてました。いまでは一度に30kg仕込むこともあります。10クオートの業務用ミキサーを購入しました。単相100Vで使用できる最大です。一回まわすごとに室温に戻したポンドバターを3個使います。きび砂糖、卵黄、クルミの順に投入していきます。機械だからといってドバっと全部入れて良いわけではありません。わたしの感覚ではバターときび砂糖の段階までは高速でそうとう回して大丈夫です。むしろしっかりやるべきところです。卵を入れるときは慎重にしています。したいのは「乳化」だからです。乳化というのは水と油みたいに本来まざらないはずのものを均一に混ざりあった状態にすることです。起きていることは化学的なことで分子がとか分子間力が、とか聞きます。ちょっとむずかしいんですが、うまくいってるときはきれいなので分かります。オカメサブレには卵黄しか使いませんからレシチンのはたらきで全卵のときのように分離などしたことはありません。クルミはオーブンで15分ローストしたものをクイジナートでペースト状にして混ぜています。それをふるいにかけた小麦粉と合わせます。3キロ近い小麦粉と合わせますのでなかなか重労働です。こねすぎるとグルテンが出てしまって良くないですから最低限の回数で混ぜていきます。うまく行った生地というのはまとまりがあってべたついたりすることがありません。それを2〜5回繰り返します。オカメサブレのレシピはいつでも公開できると思っています。私のお菓子を作る才能は普通ですが、オカメサブレを私よりじょうずに作れる人はいないからです。何万枚も焼いたからそう思います。オーブンの温度と焼き時間を同じにしたからと言って同じように焼き上がるわけではありまません。理由はかんたんで、その日の気温とか、生地の温度とか、卵だっていつも同じではない。つまりは毎日が違う日だからです。オカメサブレを何万枚も焼いたことで分かった、いつも昨日とは違うということは、なんだかうれしい大発見でした。 「オカメサブレをみんなが知ってるお菓子にするまで日記」はnoteでお読みいただけます