13 栗の季節2026

13 栗の季節2026

 今年も栗の季節がやってきました。去年よりずっと元気な私はいいだ園さんで去年の倍近くの栗を仕入れてきました。夏休みが終わってからもずっと忙しくしています。設備のトラブルや急用など、毎日必ず何かが起きて予定通り進んだことがありません。朝4時台におきて6時前には店に着いて仕事する。帰ったら寝るだけ。その生活のどこに栗の仕込みを捻じ込めばいいのか不安でした。営業日の午後を使うことにしました。ですがやはりすぐには終わらず一日目はたった2キロの栗の鬼皮をむいてゆでこぼすだけで終わりました。次の日の午後は栗掃除をしました。栗掃除とは鬼皮と渋皮のあいだにある内果皮をきれいにとることです。見た目も木の皮みたいで、これがついてるとおいしくないんだと思います。とにかくこの作業が時間がかかります。歯ブラシ、スポンジ、いろいろためしてけっきょく竹串で掃除しています。渋皮に穴が開くと失敗なので急ぐこともできません。普段の気の短い私のままだとできないのでこのときばかりは気長にやります。2キロ終わるまでに4時間以上かかってしまいました。全部終わったとき本当にヘトヘトで、まだこの何倍も栗があると思ったら気が遠くなりました。呆然としながら大きな鍋にきれいになった栗を移し水と砂糖を入れて加糖を始めました。一度に全部の砂糖を入れてしまうと固くなるので分量の三分の一ずつ入れます。栗をコトコト煮ていたら一年前と同じ香りがしてきました。それがうれしく思えました。こんなに大変でもうやりたくないって思うのにまたやってしまうのはなんでだろうと思いました。お店のこと全部がそうで気が短いだけでなく飽きっぽい今までの私だったらもうとっくに全部捨てている頃です。なのに今は人を増やしてまでこの店を続けようとしています。この世のすべてのものに対して執着するべきでないと思って生きています。でも栗の匂いの中で思ったことはもしかしたらこれは愛着っていうんじゃないだろうかということです。長年生きてきて今、知る気持ちでもないだろうと思いますがそういうことならもっと丹精込めて大切にしてもいいのかなと思いました。翌日以降も加糖を続けしっとりほくほくの渋皮煮ができました。苦労してまんまるのまま煮た栗なのでまんまるのまま使ってタルトやパウンドケーキを作ります。ところで私は苦労したからおいしくなるとは思ってなくてお菓子は楽しんで作るものだと思っています。楽しいっていうことはお気楽なことではなくて大変だったとしてもやってよかったなと思うことがいっこでも残ることかと思います。

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