12 この時間が好きだった(杏とブルーベリー)

12 この時間が好きだった(杏とブルーベリー)

 あっという間に1ヶ月経ってしまいました。試験が終わったので7月は平常運転に戻すことを目標にしていました。ずっとできなかったおやつ便も作りました。いつもの2倍の注文があって7月と思えない忙しさでしたが「夏だから売り上げ落ちてもしょうがない」という固定観念を消せたのはいいことでした。
 

 キビズの7月は杏に始まり杏に終わりました。あんずの里さんから送っていただいた「信月」という杏でした。生食でも食べられる品種でしたが杏は加糖してこそ本領発揮です。キビズの焼き菓子は切ったままの果実をそのまま載せて焼くということほとんどないです。それだと生地の甘さやバターのコクや香りに対して果物がどうしても弱くなると感じます。それに水分量が多すぎます。キビズでは杏のコンポートは低温調理で作っています。これは私が考えてしてることですがそのままでもおいしいくらいの杏ですからあまり長い時間高温で加熱するとコンポートでも食感がジャムみたいになってしまうので杏の食感は残したいけど甘さと酸味と水分が焼き菓子向きになるように考えました。今年もそのやり方できれいにコンポートができました。ただ去年、時間の経過とともに杏のコンポートが褐変してしまったことがあったので今年はその原因をいくつか考えて、一個の仮説と一個の変更点、というかんじで実験してひとつひとつ消していきシロップの量を増やして(酸素を触れさせない)砂糖の濃度も少し濃く(時間とともに水分移動が起こる)したところ褐変もなく最後の1台まで焼き切ることができました。杏は本当に焼き菓子向きの果実だと思います。生でかじってもおいしいですがコンポートやジャムにしたものを味見したときのぱっかーんと目が開いて「うんまあーーーい!!」となる感じを今年も思い出しました。

 杏が終わってすぐ、今日はブルーベリーを収穫してきました。真夏のブルーベリー畑で黙々とブルーベリーを摘んでいたら、この何も考えない静かな時間が好きだったことを思い出しました。

 目の前にないもののことを思い出したり考えたりすることがない性質のためこうして同じ場所で同じことをすることで同じ気持ちに出会えたりします。

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