2 イースト生地の試作

2 イースト生地の試作

 フルーツを漬けて1週間たったところでイースト生地の試作を始めます。日本で売っている小麦粉には薄力粉と強力粉の他に準強力粉というのもあります。キビズのシュトレンには準強力粉を使いたいなと思っていました。試作用に選んだのはE65とリスドォルです。イーストは、とかち野酵母とサフ金を用意しました。オカメサブレに北海道の小麦粉を使用しているので私の有力候補はE65×とかち野酵母ですがリスドォル×サフ金と比較していくスタイルです。店舗での量産を鑑みていつもの問屋さんから取りやすいもの、ということも重要になってます。それでは問1、粉100%としたときの材料それぞれの比率を求めよ。ボウルを2つ用意してE65を100g、リスドォルを100gいれます。きび砂糖、塩、イースト、アーモンドプードルを暫定の割合で投入。水分(全卵と牛乳)投入。捏ねます。パンのようにグルテンは出さなくていいようなので適当なところでやめてバターを投入してまた捏ねます。一次発酵させているときに、気づいてしまいました。あゝナツメグを入れ忘れたやうだ…。気を取り直してフルーツを投入します。80%(レモンピール、オレンジピール、クランベリー、いちじく、全て20%)で入れました。ここでかなりテンション上がりました。すでにシュトレンらしかったからです。二次発酵させてから粉をまぶして、なまこ型に成型して真ん中を綿棒で凹ませ片方を折りたたみ、また綿棒で両側を凹ませて凸の部分を作ります。勉強していたので幼な子イエスさまだと思ってやりました。気持ちホイロをとってから予熱しておいたオーブンへ入れました。これまでの経験から190-180℃/40-45minと決めました。焼いているあいだお菓子を焼いてるときと違う種類のしあわせの香りがしていました。イーストの香りでした。焼き上がりブスっと真ん中の温度を計ると95℃以上ありました。狂気の量のバターを溶かしておいたところに熱々のシュトレンをドボンと漬け込みます。こんなことをしていいのだろうか…と思いましたが一瞬じぶんはドレスデンの選帝侯になったので「バターを使わせてください!」と心で叫びました。溶かしバターに10秒ほどくぐらせてからグラニュー糖をまぶします。おそろしいお菓子だ、と思いましたがこれが保存のきく理由なのでしっかりやりました。ガブリと食べたくなりましたがシュトレンは焼きたてを食べるお菓子ではないのでこのまま常温で1日置き、明日はいよいよ粉糖をまぶします。試食は1日目、3日目、1週間後、2週間後、と行います。味が変化していくはずですからお客さまに説明できるようにしておきます。ポロッと落ちたレモンピールにシュトレン生地がこびりついてたのをパクリと食べました。めちゃくちゃおいしかったです。ちゃんとシュトレンだったし、それに、いつものキビズのお菓子のおいしさがありました。とてもいい、と思いました。そんな楽しい実験の日でした。

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